ナショナリズムは何故ダウンジャケットを引き起こすか

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ダウンジャケット おしりだって、洗ってほしい。

 ダダダッと階段を駆け下りた。古い区民館に、足音が響く。  ころばないようにと気をつけながらも、胸が高鳴る。喜びと緊張。下にいる2人のことを思うと、思わず、にやけてしまう。   千田香代、1973年生まれ。 運動が苦手で漫画を描くのが好きな子だった。学歴社会をうまく勝ち抜き、華やかなバブルの時代が終わる頃、推薦枠で製薬会社に就職した。 それなりの恋愛を経験したが、気づくと24歳。売れ残りのクリスマスケーキ理論の時代だ。お見合いも受けた。割り切って人生を進むのが正解だと思ったからだ。 物事を器用に乗り越えるほうだ。幸せとは、健康で豊かな生活。就活の後は、結婚、妊娠、出産、子育て、女の人生は終わらない。 社会的地位が高い職種で、収入が高く、子育ても家事にも、協力的な夫にプロポーズされた。憧れエリアで一軒家に住む。子供は一姫二太郎、3人に恵まれる。 お受験は、さらりと乗り越えた。受験分析が好きな姉に、戦略すべてを任せると、偏差値の高い人気校に、長女がいくつも合格した。 好奇心からはじめた美容の仕事も軌道に乗って来た。余裕がでると、新しいことを始めたくなった。趣味と子育てを合わせてできればと、小さな体操サークルを立ち上げる。 幸せとは、主張しすぎないバランスのとれた価値ある生活。良い家族に恵まれながらも、少しだけ上質を感じる暮らし。それが主婦としての美しい生き方だと。 普通より、ちょっと上くらいのリッチ感を求めて生きていた。それが一番幸せだと思っていたからだ。 そう、それが。 ただの思い込みだったと気づく、去年までは、、、。      一階に着いた。慌てて走ったからか、呼吸が浅くなる。息を切らしてロビーに向かう。集合時間より10分も早くにメンバーが到着したのだ。今日は、体操サークルのお楽しみ会だった。  フロアの真ん中に、ジャージ姿の男性がいる。セッタを履いて腕を組み、ひょうひょうと立っていた。 駆け寄って、呼吸を落ち着かせるように、胸に手を当てて話しかけた。 「おはようございます!!」 
まだ寒い2月。彼は家から出てきたよと言わんばかりの、はんてん姿だ。 「いやぁ~、よく通っているのにさぁ、こんな場所があったなんて、知らなかったよ」 70歳になると聞いたが、その声と話し方は、ときめくほどに魅力的だ。 日本のアニメで世界を驚愕させた男。スタジオジブリ、鈴木敏夫プロデューサー。   となりのトトロ、千と千尋の神隠し、崖の上のポニョ、、、ジブリの生み出す、その映画の数々に、大人も、子ども達も、夢中になる。 だけど、そんな風格は1ミリも出さない。へー、ほー、っと辺りを見回す。まるで遊びに来た子どものように、キョロキョロ周りを楽しんでる。    そうして、もう1人。  ポツンとロビーの端に立つ彼がいた。 アーミー柄のダウンジャケットを着ている。白いマスクは、風邪予防ではなく、人からの注目を避けたいからだ。 私に気づくと、テケテケとこちらに歩いてきてくれた。約束と時間はきっちりと守ってくれる人だ。  「早くついたなら、連絡くれたらよかったのに。。」
声をかけると、目が細まる。長いまつ毛だ。ぴょこんと会釈してくれた。 事前に、ジャージとかはいらないんですか?と、聞かれたけど、今日はお楽しみ会なのだ。かっこよく見える私服でね!とだけお願いした。 彼が選んだのは、黒のトレーナーとデニムのスタイル。いつもと同じように、右前のベルトループに、たくさんの鍵をつけている。黒もいいんだけど、色白の肌にはライトなカラーも似合うはず。 去年、世界大会で足首を負傷し、今はリハビリ途中である。それでも彼のことを、知らない人のほうが少ないだろう。体操の世界では、キングと呼ばれる。  内村航平、29歳。体操の神様だと言う人もいる。    幸せな人生ってなんだろう。。。愛ってなんだろう。。。 悩み続けたこの2年。自分の選んだ選択に、不安と戸惑いを感じながら、過ごしていた。間違っていないかと占いを繰り返しても、正解なんてわからない。 思いだけで走り抜き、何度も転んで、苦しんで。 だけど、たどり着いたその先。今日ここに2人が来てくれた。  世界で賞賛を受けるプロフェッショナル達。そもそも、小さなサークルのために時間を作れる彼らでない。だけど、私は謝礼どころか、交通費すら用意していなかった。  「来てくれて、ありがとう」  感謝しかなかった。私はただ笑顔で、気持ちを伝えた。    向こう見ずで、本音で、全力でぶつかる私を、彼らは存分に知っているだろう。地位も名誉もない私なのに、朝ドラ風に、自分を書き綴る。ドラマチックになりがちな癖を、かよさんらしいと笑っていることだろう。  人生が一瞬で簡単になるスピリチュアルや、魔法のような引き寄せの法則なんて、この世にない。自問自答でやってきた。潜在意識なんて、わかるわけない。 だけど、こうして願いが叶う。人生の答えは自分が知っていた。     「ねぇ、ハートがいい!ハート!だって今日は愛だもん!」  写真を撮る時のポーズを決める。そんな私に笑顔で合わせてくれるのが、この2人の優しさだ。皆、ボランティアで集まってくれた。今日は愛なのよ!と力説する。  「えっ?ハート?どうすんの?」 鈴木さんは猫の手みたいにごちゃごちゃしてる。ポーズつけて撮るの?って、困りながらも楽しそうだ。ありゃりゃ。。。そりゃ、ドラえもんだよ。  「こうですよ」 航平くんが、優しく笑う。彼らしい。手で、きっちりとハートの型を作ってくれた。     人脈、引き寄せ、ビジネス論、女の幸せ、子育て、愛、、なんでもいい。  もし、あなたがこの私の何かに興味をもってくれるなら、どうか、ここからはじまる私の人生の振り返りを一緒に楽しんでほしい。 あなたの迷いにとっての、何かのヒントが見つかるかるならば嬉しく思う。   そう、人生は大変で、、面白い。   愛をこめてkayo ブログの内容は、個人的な感想です

ダウンジャケットでさわやかライフ

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